今週末の行き先を決めようとして、手が止まっていませんか。
- 高尾山や大山に行くつもりだったけれど、クマのニュースが気になって決めきれない
- その山で本当に出ているのか、どこを見れば分かるのか分からない
- 子どもを連れて入っていいのか、自分では判断がつかない
クマの事情は山ごとに違い、「全国で増えている」というニュースだけでは、自分が行く山の判断材料になりません。
この記事では、高尾山・陣馬山と丹沢・大山で2026年に何が記録されているのか、出発前に見る3つの窓口、情報が出ている日に子連れで入るときの備えをまとめました。読み終えるころには、今週末の行き先を人に聞かずに自分で決められるようになります。
高尾山・陣馬山のクマは奥高尾方面が中心

高尾山を管理している高尾ビジターセンターは、2026年5月16日、高尾山周辺、特に奥高尾方面にツキノワグマが生息しているとして注意を呼びかけました。明け方や夕方に入山するときは音を出して存在を知らせること、単独行動を控えることが中心で、この呼びかけは2026年9月29日の時点でも出ています。
高尾ビジターセンターの休館日(月曜)や、平日に遠足の団体と重ならない回り方は秋の遠足シーズンの平日登山|子連れで団体と重ならない曜日・時間・道【2026年】にまとめています。
東京都が配っている目撃・痕跡の地図データ(2026年6月10日時点)を、高尾山の山頂から直線5km以内で数えると、2026年4月から6月10日までが4件、2025年度は31件でした。陣馬山は同じ数え方で2026年度が1件、2025年度が7件です。
八王子市は2026年9月16日、8月20日の午後11時ごろに、高尾山自然研究路1号路(都道189号高尾山線)付近の山中でツキノワグマ1頭がカメラに写っていたと発表しました。1号路は、麓から山頂まで舗装されている、高尾山のメインのコースです。市は、早朝や日没後など周囲が暗い時間帯の入山をできる限り控えること、熊鈴など音の出るものを持つことを呼びかけています。
9月28日には、八王子市小津町の畑で、イノシシやシカを捕るためのわなにツキノワグマ1頭がかかりました。近くに住宅が点在しているため、市は緊急銃猟(人の住む場所の近くで、市町村の判断で銃を使ってクマを駆除できる仕組み)で駆除しました。都内で緊急銃猟が行われたのは初めてです。
市内ではほかに、5月30日に八王子城跡の御主殿の滝付近で1頭が目撃されています。城跡は高尾山の北側、陣馬山へ向かう尾根の東の端にあたる場所です。
丹沢・大山の記録は大山周辺に集まっている

神奈川県は、県内のツキノワグマの目撃等情報を年度ごとにまとめて公開しています。2026年度分は10月13日時点で47件。4月4日から10月10日までの記録です。件数の多い主な場所は次のとおりで、残りは愛川町半原や厚木市中荻野などに1〜2件ずつです。
- 伊勢原市大山 7件
- 清川村煤ヶ谷 5件
- 山北町(玄倉・皆瀬川・神縄・世附・都夫良野) 8件
- 相模原市緑区(牧野・青根・鳥屋・小淵) 6件
- 伊勢原市日向 3件
- 松田町寄 4件
- 厚木市七沢 3件
大山と、その東側の登山口にあたる日向・七沢を足すと13件。県内47件のうち4分の1強が、大山まわりに集まっています。
いちばん新しい記録は、10月10日の午前11時ごろに相模原市緑区鳥屋の山中で1頭が目撃されたものです。その前は10月9日、山北町皆瀬川の山中での目撃でした。時刻が分かっている記録は午前5時30分ごろから午後10時40分ごろまで幅があり、昼の記録も混ざっています。「明け方と夕方だけ気をつければいい」とは考えないほうが実際に近いところです。
なお、丹沢では2026年8月20日の時点で、寄ユーシン線・同角山稜線・ユーシン塔ノ岳線・唐沢黒岩線・札掛物見峠線の5区間が通行できません。登山道の崩落などによるもので、クマを理由にした通行止めではありません。
大倉から塔ノ岳・丹沢山へ向かう場合の駐車場は【塔ノ岳・丹沢山】大倉の登山口駐車場ガイド|満車対策と下山後の温泉・そばにまとめています。
出発前に確かめる3つの窓口

高尾山・丹沢に行く前に見るのは、次の3つで足ります。見るのは出発の前夜と当日の朝の2回です。
1. 都県の出没情報
東京都は「TOKYOくまっぷ」という地図で、八王子市・青梅市・あきる野市・日の出町・檜原村・奥多摩町の目撃や痕跡の場所を公開しています。神奈川県はツキノワグマ情報のページで、年度ごとの記録をPDFにまとめています。行き先の地名で探すのが早い見方です。
2. 市町村のお知らせ
都県のまとめは更新の間隔がまちまちです。八王子市のように、市が独自のページやSNSで知らせる場合もあります。行き先の市町村名とクマで検索して、公式のページを1つブックマークしておくと次から早くなります。
3. ビジターセンターと登山道の通行情報
高尾山は高尾ビジターセンターが注意喚起や登山道の様子を出しています。丹沢・大山は神奈川県の「丹沢大山エリアの登山道通行情報」に通行できない区間が載っていて、分からないことは自然環境保全センターの自然公園課(046-248-2546)に聞けます。
全国どの山でも使える確認の手順は【2026年】クマ被害で登山道が閉鎖される山|出発前の安全チェック5ステップに、秋の出没の見当をつけるドングリの出来は【2026年】秋のクマ対策|ドングリ豊作の年でも子連れで気をつけることにまとめています。
山でクマを見かけたら、東京都側は市町村・ビジターセンター・東京都多摩環境事務所自然環境課へ、神奈川県側は市町村役場や地域県政総合センター、警察署へ連絡します。危険を感じたときは先に警察です。
情報が出ている日に子連れで入るときの備え

記録が出ている山に行くと決めたら、持ち物をふだんより一段そろえておきます。装備全体の考え方は登山のクマ対策|熊鈴だけでは不十分な理由と本当に必要な装備・対処法【2026年】で整理しています。
歩いている間ずっと音を出す
子どもと歩いていると、おやつを食べているときや疲れて無口になったときなど、話し声が途切れる時間が出ます。そこを埋めるのが熊鈴です。カーブの先や沢沿いのように向こう側が見えない場所では、ホイッスルをひと吹きして先に知らせておくと確実です。
モンベルのトレッキングベル スクエア サイレントは、テープの中の磁石で音を止められる44gの熊鈴です。スチールの低めの音は木の多い道でも吸い込まれにくく、樹林を長く歩く高尾山や丹沢に向いています。電車やバス、休憩のあいだは止めておけるので、人の多い山でも気兼ねなく使えます。

モンベル
トレッキングベル スクエア サイレント
スチールのベルにアルミのカラビナが付いた熊鈴。テープの中の磁石で音を止められるので、電車やバス、休憩中は鳴らさずに済みます。低めの音は木の多い道でも吸い込まれにくく、重さ44gでザックのショルダーに付けっぱなしにできます。
鈴だけで足りるのか、逆効果という話は本当かが気になる場合は熊鈴は本当に効くのか|「逆効果」と言われる理由と使い方【2026年】で論点を整理しています。
万が一のための熊スプレー
音は「会わないための道具」で、会ってしまったあとには効きません。そこを引き受けるのが熊スプレーです。メーカーが公表している届く距離は約9.8mで、風向きに注意して使います。ザックの中では間に合わないので、腰かショルダーハーネスの、手を伸ばせば届く位置に付けておきます。
カウンターアソールトのCA230はホルスターが付属するので、買ってすぐ手の届く位置に構えられます。

Counter Assault(カウンターアソールト)
熊よけスプレー CA230
噴射時間は7秒。3秒ずつ噴けば2回ぶんという計算になるので、引きつけてから使う前提の道具です。ザックの前面に付けられるホルスターが付属し、買ってすぐ手の届く位置に構えられます。
ほかの製品との違いや、電車・飛行機での扱いは熊スプレー4製品を比較|噴射距離と選び方、携行ルールと使い方の基本にまとめています。
情報が出ている日の行き先と歩き方の決め方
記録を見たあとは、次の順番で考えると迷いません。
- その週に記録が出ている地名を、コースの中に含んでいないか確かめる
- 通行止めの区間を外して、往復で歩けるコースに組み直す
- 人が歩いている時間帯に合わせ、早朝と夕方をコースから削る
- 引き返す条件を家族で先に決めておく
歩き出しは朝7時以降、下山は午後4時までを目安にすると、クマの活動が活発になる時間帯から外れます。高尾山は1号路付近でも記録が出ているので、山頂までの往復でも同じです。大山まわりは日向と七沢の側で記録が続いていて、ここを登山口に選ぶ日は時間帯をとくに絞ります。
列は大人が前後を挟み、子どもを真ん中にします。並び方は子連れ登山の安全な歩かせ方|隊列と子どもの位置で落石・滑落・転倒を防ぐで説明しています。食べものはにおいが漏れないように密閉して持ち、ゴミは全部持ち帰ります。引き返す条件は、足あとやふんを見つけたら先へ進まない、が分かりやすい線引きです。
それでも出会ってしまったときは、走って逃げない、大声を出さない、死んだふりをしない、食べものを投げない、の4つを守ります。距離ごとの動き方はこうです。
- 50mより遠い 静かに後ろへ下がるか、迂回する
- 20mから50m 正面を向いたまま、ゆっくり後退する
- 10mから20m 熊スプレーをホルスターから抜いて構え、安全のロックを外す
- 10mより近い 5m前後まで引きつけて、顔を狙って噴射する
秋は人身被害がいちばん多い時期です。子連れで秋に入るときにやることは子連れ登山のクマ対策|被害が最多の秋に親子でやること5つと必須グッズに、奥多摩・秩父側の通行止めは【2026年10月】奥多摩・秩父のクマ通行止めまとめ|両神山解除・残る規制にまとめているので、比べてから行き先を決めてください。
まとめ|数字を見て、窓口を決めて、時間帯で外す
- 高尾山は奥高尾方面を中心にツキノワグマが生息し、2026年8月20日の夜には1号路付近でも1頭がカメラに写った
- 9月28日には八王子市小津町で、わなにかかったクマを市が緊急銃猟で駆除した。都内で初めての例
- 東京都の地図データでは、高尾山の山頂から5km以内で2026年4月から6月10日までに4件、2025年度は31件
- 神奈川県の2026年度の記録は10月13日時点で47件。大山・日向・七沢で13件と、大山まわりに多い
- 記録の時刻は午前5時台から午後10時台まで幅があり、明け方と夕方だけとは限らない
- 確認するのは都県の出没情報、市町村のお知らせ、ビジターセンターと登山道の通行情報の3つ。出発の前夜と当日の朝に見る
- 子連れで入る日は、消音つきの熊鈴と熊スプレー、朝7時以降の歩き出しと午後4時までの下山、子どもを列の真ん中に
クマの情報は、見た週と次の週で変わります。行き先を決める前に窓口を開く。この10分が、家族で歩く日をそのまま楽しい1日にしてくれます。
※本記事の目撃情報・通行止めなどの主要情報は 2026年9月10日 に確認したものです(高尾山1号路付近は9月18日、高尾ビジターセンターの注意・丹沢の通行止め・小津町の件は9月29日、神奈川県の目撃等情報は10月15日に確認しました)。最新の状況は各公式サイトでご確認ください。
アイキャッチ画像:丹沢の登山口に出た熊出没注意の電光表示 撮影 Takeshi Suzuki(Wikimedia Commons/CC BY 2.0) 本文写真:高尾山頂の標識 撮影 くろふね(Wikimedia Commons/CC BY 4.0)、大山の登山道 撮影 Guilhem Vellut(Wikimedia Commons/CC BY 2.0)、クマ出没注意の看板 撮影 Guilhem Vellut(Wikimedia Commons/CC BY 2.0)、ビジターセンターの貸出用の熊鈴 撮影 ウィキ太郎(Wikimedia Commons/パブリックドメイン) 商品写真:モンベル公式サイト、カウンターアソールト公式サイト


コメント