岩場のある山に子どもを連れて行くとき、ヘルメットまで買うべきか、自転車用で代わりになるのか迷っていませんか。
この記事では、ヘルメットが要る場面と自転車用との違いを整理し、頭囲50cm前後から選べる5モデルを比べます。読み終えると、わが子に必要かを判断でき、頭に合う1つが選べます。
取り上げる5点は次のとおりです。
- ペツル ピチュ(山と自転車を1つで)
- モンベル L.W.アルパインヘルメット Kid’s(軽さ重視・直営店)
- モンベル アルパインヘルメット Kid’s(通気性重視・直営店)
- ペツル ボレオ(S/M)(長く使いたい)
- ブラックダイヤモンド ハーフドーム(親が直しやすい)
山で子どもが頭を打つのは、岩場だけではない

2024年9月15日、北アルプスの蝶ヶ岳で、3人パーティで入山した7歳の男児が下山中に転倒し、頭部と足を負傷しました。場所は、三股へ下る途中の第2ベンチ付近です。この現場でヘルメットはかぶっていませんでした。
同じ配信で長野県警の山岳安全対策課は、岩場のある登山道でヘルメットをかぶっていない子連れを多く見かけるとし、着用奨励山域でなくてもヘルメットでケガを防ぐよう保護者に呼びかけています。
長野県内の山岳遭難は転・滑落と転倒がワースト1位と2位で、遭難者の4人に1人が頭部を負傷しています。
子連れの日帰り登山でいちばん起きやすいのは転倒です。木の根やザレ場、粘土質の登山道は足を取られやすく、登山道の歩きに慣れていない子どもは何もないところでも転びます。
転ばせない歩き方の対策は子連れ登山の安全な歩かせ方|隊列と子どもの位置で落石・滑落・転倒を防ぐにまとめました。
では、どの山から必要になるのか。ひとつの目安が、長野県が指定している「山岳ヘルメット着用奨励山域」です。
- 北アルプス南部の岩稜帯(大キレット、西穂高岳から奥穂高岳、北鎌尾根・東鎌尾根など)と、活火山の焼岳・乗鞍岳
- 北アルプス北部の不帰の嶮周辺、八峰キレット周辺
- 南アルプスの甲斐駒ケ岳、鋸岳
- 中央アルプスの宝剣岳
- 戸隠山と西岳、活火山の御嶽山と浅間山
- 積雪期は、滑落・転落・落石などの危険のあるすべての山域
長野県は「他の山域においてヘルメットが不要という主旨ではない」と注記しています。活火山について長野県は、活動火山対策特別措置法でヘルメットを含む必要な装備の携帯が登山者の努力義務とされている、と説明しています。
自転車用ヘルメットは、山で起きるケガを想定した作りになっていない
2023年4月から自転車のヘルメット着用が努力義務になり、子ども用の自転車ヘルメットがある家庭も増えました。ただ、登山用と自転車用は通っている試験が別物です。
日本には登山用ヘルメットの国内規格がなく、ヨーロッパのCE規格と国際山岳連盟のUIAA規格が使われています。登山・クライミング用はEN 12492で、規格を通った製品にはマークが付いています。
自転車用はEN 1078という別の規格です。モンベルも、登山用のアルパインヘルメット Kid’s をEN 12492適合、サイクルヘルメット Kid’s をEN 1078「自転車専用」と書き分けています。
あとで紹介するペツル ピチュのように両方の認証を取った製品もありますが、EN 1078しか通っていない自転車用は登山用の代わりになりません。
警察庁によると、自転車事故の死者・重傷者のうち頭部を負傷した人の割合は、ヘルメット非着用だと着用時の約1.7倍です。通学や買い物は自転車用、山では登山用と、役目で分けてください。
子ども用は頭囲・重さ・調整方式の3つで選ぶ

まず子どもの頭囲を測り、対応する範囲から候補を絞る
製品ごとに対応する頭囲の範囲が決まっていて、合っていないとダイヤルを締めても安定しません。5点の頭囲は下の表にまとめました。
重さの差は、かぶり続けてくれるかに直結する
軽いものと重いものでは100g以上の差があり、首の力が大人ほど強くない子どもには、かぶり続けてくれるかに直結します。重さを決めるのは中身の構造です。
- インモールド構造:軽くて耐衝撃性が高く通気性にも長けるが、価格は高め
- ハードシェル構造:ポリカーボネートなどの硬いシェルの内側に発泡剤を入れた作りで、耐久性が高く価格は手頃だが重い
- ハイブリッド構造:発泡素材とABSシェルを組み合わせ、軽さと耐久性の両方を狙ったもの
後頭部のダイヤルは、親が後ろから回せるものを選ぶ
子どもに自分でダイヤルを締め直させるのは現実的ではありません。歩き出してから緩んだときにその場で直せるよう、親が後ろから片手で回せるものを選びます。
モンベルの2点はAmazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングで扱いがなく、検索すると同じモンベルの自転車用サイクルヘルメットが並びます。買うのは直営店か公式オンラインストアです。
5点を並べると次のとおりです。
| 商品 | 対応する頭囲 | 重さ | 構造 | 認証規格 | 価格(税込) | 買えるところ | おすすめできる人 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ペツル ピチュ | 48〜54cm | 330g | ABS樹脂シェル+EPSフォーム | EN 12492/UIAA/EN 1078/CPSC | 10,120円 | 通販モール | 山と自転車を1つで済ませたい人 |
| モンベル L.W.アルパインヘルメット Kid’s | 50〜54cm | 220g | インモールド | EN 12492 | 7,260円 | モンベル直営店・公式ストア | 子どもが重さを嫌がる場合 |
| モンベル アルパインヘルメット Kid’s | 50〜55cm | 335g | ABSシェル+ポリスチレン | EN 12492 | 6,930円 | モンベル直営店・公式ストア | 夏の低山で蒸れを抑えたい人 |
| ペツル ボレオ(S/M) | 48〜58cm | 300g | ハイブリッド(ABS+EPP・EPS) | EN 12492/UIAA | 11,000円 | 通販モール | 成長しても買い替えたくない人 |
| ブラックダイヤモンド ハーフドーム(S/M) | 50〜58cm | 330g | ABSシェル+EPSフォーム | EN 12492/UIAA | 9,240円 | 通販モール | 親が後ろから直しやすいものがほしい人 |
ペツル ピチュは、登山と自転車の規格を1つで満たしている

自転車用で代用したい、という気持ちの落としどころになるのがこのモデルです。ピチュはEN 12492とUIAAという登山・クライミング用の認証に加えて、自転車用のEN 1078とアメリカのCPSCの認証も取っています。
Amazonでは扱いがないので、楽天市場かYahoo!ショッピングで探してください。山でも自転車でも1つで済ませたい家庭に向きます。

PETZL(ペツル)
ピチュ
登山・クライミング用のEN 12492とUIAA、自転車用のEN 1078とCPSCをまとめて満たした子ども用ヘルメット。頭全体を覆う形で前・横・後ろからの衝撃に備えます。3〜8歳で、山でも自転車でも1つで使いたい人に。
モンベル L.W.アルパインヘルメット Kid’s は、220gで子どもが嫌がりにくい

子どもがヘルメットを脱ぎたがる理由の多くは、重さと蒸れです。このモデルは220gで、この記事で比べた5点のなかでいちばん軽く仕上がっています。首の力が大人ほど強くない子どもにとって、ここは効きます。
アウターシェルとインナーシェルを一体で成形するインモールド構造で、EN 12492に適合しています。
買うときはモンベルの直営店か、モンベル公式オンラインストアの商品ページから選んでください。
モンベル アルパインヘルメット Kid’s は、通気孔が多く夏の低山で蒸れにくい

同じモンベルの子ども用でも、こちらは狙いが違います。多数のベンチレーションを設けて通気性を確保したモデルで、汗をかきやすい夏の低山に向いています。
ABS樹脂のシェルにポリスチレンを入れたハードシェル系で、ぶつけても傷が付きにくく、扱いが荒い子どもの道具に向きます。
こちらもモンベルの直営店か、モンベル公式オンラインストアの商品ページから選んでください。
ペツル ボレオ(S/M)は、頭囲48〜58cmで成長しても使い続けられる

子ども用の悩みどころは、頭が大きくなると買い替えになることです。ボレオのS/Mは対応する頭囲が48〜58cmと幅広く、この1つで小さいうちから大人の頭のサイズに届くところまで通せます。
ABS樹脂のシェルにEPPとEPSの2種類のフォームを重ねたハイブリッド構造で、認証はEN 12492とUIAAです。
5点のなかでいちばん高いので、兄弟で順に使うなど、買い替えを1回減らせる見込みがある人に向きます。

PETZL(ペツル)
ボレオ(S/M)
ABS樹脂のシェルにEPPとEPSのフォームを重ねたハイブリッド構造のヘルメット。S/Mは対応する頭囲の幅が広く、ヘッドバンドを内側に収納して持ち運べます。買い替えの回数を減らしたい人に。
ブラックダイヤモンド ハーフドームは、片手で調整できて親が直しやすい

歩いている途中でずれても、子どもは自分で直せません。ハーフドームは調整ダイヤルを片手で操作できるので、もう一方の手で子どもを支えたまま親が締め直せます。
ABSシェルとEPSフォームの丈夫な作りで、親が横で手を入れながら歩く段階の子に向きます。

Black Diamond(ブラックダイヤモンド)
ハーフドーム(S/M)
ABSシェルとEPSフォームを組み合わせた定番のヘルメット。調整ダイヤルを片手で操作でき、チンストラップも長さを合わせやすい作りです。歩きながら親が直してあげる場面が多い人に。
かぶらせ方は3つの見分け方で確認し、買い替えは年数と衝撃で決める
あご紐と後ろのダイヤルで、頭の上で動かない位置に合わせる
買っただけでは役目を果たしません。あご紐はバックルでしっかり連結し、首が苦しくならない長さに調整。そのうえで後頭部のダイヤルやラチェットを回して、頭にぴたりと合わせます。
緩すぎるかどうかは、次の3つで見分けられます。子どもにかぶせた状態で、正面と横から見てください。
- 前にずれて視界が遮られる
- 後ろにずれて前頭部(おでこ)が見えてしまう
- 正面から見て左右に傾いてしまう
どれかに当てはまるなら締め直します。汗で緩むこともあるので、休憩のたびに後ろから見ておくと安心です。
強い衝撃を受けたヘルメットは、下の子のお下がりに回さない
下の子に回す前に、まず経過年数を見ます。ペツルは、プラスチック製品と繊維製品の耐用年数を製造日から数えて最長10年としていて、シェルもライナーもあご紐も対象です。
次に衝撃の履歴です。ペツルは、非常に大きな衝撃が加わったものはそれ以降使わないとしています。フォームはつぶれて衝撃を吸収するので、外から傷が見えなくても性能は戻りません。落石が当たった、頭を強く打ったヘルメットは、下の子に回さないでください。
まとめ
子どもにヘルメットが要るかどうかは、行き先が岩場かどうかだけでは決まりません。
- 遭難者の4人に1人が頭部を負傷し、下山路でも子どもが転んで頭を打っている
- 自転車用のEN 1078は、登山用のEN 12492の代わりにならない
- 選ぶときは、対応する頭囲・重さ・後頭部の調整方式の3つを見る
- モンベルの2点は直営店か公式オンラインストアで買う
- 製造から10年を過ぎたもの、強い衝撃を受けたものはお下がりに回さない
山と自転車を1つで済ませたいならペツル ピチュ、長く使いたいならペツル ボレオのS/M、親が後ろから直しやすいものならブラックダイヤモンド ハーフドーム。この3つは通販モールで買えます。近くにモンベルの店があるなら、軽さのモデルと通気性のモデルを試着してから決めるのがいちばん確実です。
商品写真: ペツル公式サイト(2枚)、モンベル公式サイト(2枚)、ブラックダイヤモンド日本総代理店 公式オンラインストア

