子連れで山に行くと、下りの途中で子どもが急に座り込み、動かなくなることがあります。原因のひとつが、山の会話でよく聞く「シャリバテ」です。
この記事では、シャリバテの意味と語源、起きる仕組み、症状、子連れで防ぐ食べ方5つ、なってしまったときの戻し方をまとめました。読み終えれば、次の山でいつ・何を・どれだけ食べさせればよいかが決まります。
子連れで防ぐ食べ方5つ
- 歩き出す2時間前に、朝ごはんを満腹まで食べる
- 必要な量は「100〜200kcal×行動時間」で先に出す
- おなかが空く前に、15〜20分おきで少しずつ食べる
- 吸収の速い糖と、ゆっくり効く糖を組み合わせる
- 子どものおやつは本人に選ばせ、ご褒美にしない
シャリバテとは、登山中にエネルギーが切れて動けなくなること

シャリバテは、食べる量が足りずにエネルギー不足となり、体が動かなくなる状態です。急に強い空腹感に襲われ、全身に力が入らなくなり、しまいには歩けなくなります。おなかが鳴る段階とは別のものです。
語源は、ご飯を指す「シャリ」と「バテる」
「シャリ」はご飯、「バテ」は歩けなくなるという意味の「バテる」から来ています。ご飯が足りずにバテる、がシャリバテです。ほかの登山用語の由来は登山用語一覧|日本語・英語・ドイツ語の違いと意味・語源を解説にまとめています。
ハンガーノックとの違いは、呼び方だけ
自転車やマラソンでは、同じ状態を「ハンガーノック」と呼びます。指しているものは変わりません。
シャリバテが起きるのは、体にためられる糖が1.5時間分しかないから

空腹の状態で体にたくわえられている炭水化物は、1.5時間分しかありません。脂肪は7.4日分あるのに、すぐ使える糖の蓄えはこれだけです。糖が尽きると、体は筋肉や内臓のタンパク質まで燃やし始めます。
使う量も小さくありません。体重60kgの人が8時間の日帰り登山をすると、約2,400kcalを使う計算です。
シャリバテの症状は、強い脱力感とふらつきから始まる

最初に出るのは、急な空腹感と全身の脱力です。そこから注意力が散漫になり、足元がふらつきます。進むと判断力が落ち、最悪の場合は行動不能になります。ふだん以上に疲れている、やけにだるいと感じたら、早めに手を打ちます。
子連れで見逃したくないサインは食欲です。おやつを差し出しても手が伸びなくなったら、前兆と考えます。
子連れでシャリバテを防ぐ食べ方5つ

1.歩き出す2時間前に、朝ごはんを満腹まで食べる
朝食は歩き始める2時間ほど前に、満腹になるくらい食べておきます。水分も500ml程度とっておきます。早出で2時間とれない日は、歩き出してから早めに1回目の行動食をはさみます。
2.必要な量は「100〜200kcal×行動時間」で先に出す
行動中に必要なエネルギーは、100〜200kcalに行動時間(時間)を掛けると見当がつきます。6時間なら600〜1,200kcalです。水分は体重(kg)×行動時間(h)×5でml数が出て、体重60kgで6時間なら1,800ml。塩分は水分1Lにつき1gが目安です。
3.おなかが空く前に、15〜20分おきで少しずつ食べる
小腹が空く前に、15〜20分おきに小分けで食べます。一度にたくさん食べると血糖値が急に上がって体の負担になります。下りも糖をたくさん使うため、上りと同じペースで食べ続けます。
4.吸収の速い糖と、ゆっくり効く糖を組み合わせる
ブドウ糖のような単糖類がいちばん速く効き、砂糖は約30分、おにぎりのような多糖類は2〜3時間かかります。飴・チョコ・ようかんは速く、米・パン・イモや脂質はゆっくり長く効きます。行動時間が長い日は両方を混ぜて持ちます。
何をいくつ持つかは、行動食おすすめ8選|子連れ登山に必要な糖分・塩分・タンパク質でまとめています。
5.子どものおやつは本人に選ばせ、ご褒美にしない
子どもにとっておやつは、心の支えにもなります。前の日に本人に選ばせると当日のやる気が変わり、個包装なら歩きながら渡せます。「ベンチがあったらおやつタイム」と先に決めておくのもおすすめです。ご褒美として使うと、おやつが登山の目的にすり替わるので避けます。
シャリバテ対策に足しておきたい行動食2つ

効き方の違う2つを持っておくと、切れかけたときの立て直しが早くなります。手持ちのお菓子で同じ役割を果たせるなら、それで足ります。
森永製菓 ラムネは、ブドウ糖を最大90%配合していて効きが速い
1本29gで108kcal。ブドウ糖はいちばん速くエネルギーに変わりますが、持久戦には向かないので、長い日はほかの行動食と組み合わせます。切れかけた場面の立て直し用に、1本持っておくと安心です。

森永製菓
ラムネ
ブドウ糖を最大90%配合したラムネ菓子です。1本29gで108kcal。効きの速い糖をひとつ持っておきたい人に。
inゼリー エネルギーは、水分と一緒に180kcalを入れられる
固形物が喉を通らないときでも口にできる、飲むタイプです。1袋180gで180kcal、炭水化物は45.0gで、ビタミンB1をはじめ複数のビタミンを含みます。行動の後半用に1つ残しておくと、立て直しの手が残ります。

森永製菓
inゼリー エネルギー
1袋180gで180kcalをとれる、素早く飲めるゼリー飲料です。行動の後半用に1つ残しておきたい人に。
山でのごはん全体を組み立てたいときは子連れ登山の食事|行動食・山ごはんおすすめ13選と選び方【2026年】もどうぞ。
シャリバテになったら、糖分を入れて休み、引き返しも考える

座り込んでしまったら、まず飴・チョコ・ようかんのような、すぐエネルギーになるものを入れます。固形物が喉を通らなければ、飲む形に切り替えます。休憩中にふくらはぎや太腿を伸ばしておくと、体が動きやすくなります。
それでも足取りが戻らないときは、山頂をあきらめます。判断力が落ちたまま進むと、つまずきや転倒が起きやすくなるからです。引き返す目安は子連れ登山の引き返し基準7つ|GW遭難から学ぶ撤退判断のコツにまとめています。
シャリバテに関するよくある質問
行動食はどれくらいの間隔で食べればよいですか?
15〜20分おきに少しずつが目安です。下りも同じペースで続けてください。
子どもが行動食を食べたがらないときはどうすればよいですか?
食欲が落ちること自体がサインです。飲むタイプに切り替えて糖を入れ、それでも足取りが戻らなければ引き返します。
まとめ|シャリバテは「早め・こまめ」の補給で防げる
- シャリバテは、エネルギー不足で体が動かなくなる状態。競技ではハンガーノックと呼ぶ
- 体にためておける糖は1.5時間分だけ
- 朝ごはんは歩き出す2時間前に。行動中は15〜20分おきに少しずつ
- 効きの速い糖とゆっくり効く糖を組み合わせ、おやつは子どもに選ばせる
- 足取りが戻らないときは引き返す
次の山では、食べる時刻と持っていく量を先に決めてから出発してみてください。
商品写真:森永製菓公式サイト(2枚)


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