秋は子どもと歩くのにいい季節ですが、スズメバチが最も活発になる時期でもあります。子連れでは、出会ったときに子どもがどう動くかまで先に決めておきたいところです。
この記事では、スズメバチ対策を「服と髪」「におい」「歩き方」「出会ったときの動き方」の4つに分け、刺されたときの手順までまとめました。読み終えると、出発前に何を変えるかと、山で子どもに何と声をかけるかが決まります。
秋のスズメバチが危ないのは、一年でいちばん気が立つ時期だから

スズメバチが最も活発に動き回るのは8月から10月です。なかでも9月から10月は新しい女王バチが生まれる時期で、攻撃性が高く、刺されるリスクが大きくなります。林野庁の公表では、2024年の全国のハチ刺されによる死亡者は18名でした。同じ時期のクマについては【2026年】秋のクマ対策|ドングリ豊作の年でも子連れで気をつけることにまとめています。
狙われるのは手と腕、次に顔と頭
刺された場所は、手・腕・顔がそれぞれ2割ほど、頭が1割ほど。いずれも服から出ている部分です。動くものを敵とみなす性質があるので、手を大きく振って歩く子どもはとくに目立ちます。
黒い服と出したままの髪をやめると、狙われにくくなる

色を変えて反応を比べた実験では、激しく攻撃されたのは黒でした。白や銀に向かってくるハチは、黒の10分の1以下です。家にある淡い色の長袖で足ります。ウェアを明るくしても背中に黒い面が残らないよう、ザックの色にも気をつけます。
髪はできるだけ帽子の中に入れ、首筋にはタオルを巻きます。秋の低山でも、半袖1枚で歩かせないと決めておきましょう。
においで寄せないために、山で使わないものを決めておく

香水・整髪料・制汗剤は、山に入る日は使いません。食べ物や飲み物の強いにおいも同じなので、飲み物はふたのできる水筒に入れてすぐ閉め、おやつは食べ終わったら袋の口を閉じてしまいます。
虫よけスプレーはスズメバチには効きません。ハチは近づかないことが対策の中心です。
巣に近づかない歩き方は、登山道から外れないこと

スズメバチの仲間には、土の中や木の洞に巣を作るものがいます。外から気づきにくく、巣のすぐ上を歩いた振動が刺激になって事故につながる例が多いのです。巣ができやすいのは、木の根元にぽっかり空いた空間、地面の下の空洞、刈った草を積み重ねたところです。
出発前に「地面の穴と木の穴は、見つけても近づかない。棒でつつかない」と伝えておきましょう。近道でやぶに入るのも避けます。子どもを歩かせる位置は子連れ登山の安全な歩かせ方|隊列と子どもの位置で落石・滑落・転倒を防ぐで詳しく書いています。
カチカチという音が聞こえたら、姿勢を低くして静かに離れる

巣の近くには見張り役がいて、人が近づくと大顎を噛み合わせてカチッ、カチッと音を立てます。この音が聞こえたら、巣はすぐそばです。10メートル以内は要注意、3メートル以内はかなり危険です。
- 静かに、ゆっくりとしゃがんで姿勢を低くする
- 手で払わない。素早い動きは興奮させる
- 大きな動作をせず、巣と反対方向へ静かに離れる
子どもには「手は下げて。しゃがんで」と短く声をかけます。
追われ始めたら、止まらずに走って逃げる
実際に攻撃されたら、全力で走って逃げます。払っても次々に増援が来るので、巣から距離が取れるまで立ち止まりません。子どもの手を引くか、小さい子は抱えて走ります。
刺されたら、動かない・吸う・洗う・冷やす・病院の順で動く

応急処置は、巣から100メートル以上離れてから始めます。
- 刺された人はなるべく動かない。毒がまわるのを防ぐためです
- ポイズンリムーバーで毒を吸い出す。刺されてから10分以内が目安です。埼玉県の案内では、10分ほど肌から離さず吸った状態のままにします。使い方は製品の説明書に従ってください
- 流水で数分間洗い流す。ハチの毒は水に溶けます
- 冷やす
- 早めに病院へ。その日の行程は切り上げます
吸引器がないときは、爪で左右から傷口を押して毒を絞り出し、水で洗い流します。吸引器は、医師の手当てを受けるまでの応急処置の道具です。ハチ以外の虫の手当ては子連れ登山の虫刺され対策|マダニ・ブヨ・アブへの正しい応急処置と予防法にまとめました。
アナフィラキシーは刺されてから30分以内、早ければ数分で出る
蕁麻疹・呼吸困難・めまい・意識障害、飲み込みにくい、声がかすれるといった全身の症状が出たら、局所の手当てより先に救助を呼び、仰向けに寝かせて足を高くします。
1度刺されると体の中に抗体ができ、2度目に刺されたときにアレルギー反応を起こすことがあります。ハチ刺されのアレルギーを指摘されている場合は、自己注射薬の携行を医師に相談してください。登録された医師の処方が必要です。
秋の山に持っていく応急処置の3つ

吸う・冷やすの道具と塗り薬を、秋は救急ポーチに入れておきます。
1. 毒を吸い出す|ドクターヘッセル インセクトポイズンリムーバー
レバーを引き上げるだけの操作なので、もう片方の手で子どもを支えたまま使えます。夏の虫刺されにも使えるので、1つ入れておけば季節を問いません。

ドクターヘッセル(Dr.Hessel’s)
インセクトポイズンリムーバー
刺された直後に毒を吸い出す吸引器です。吸い口は差し替えで大小2つに使い分けられます。
2. 腫れが出てから塗る|池田模範堂 ムヒアルファEX
吸って洗ったあと、腫れが出てきたところに塗る薬です。使う前に添付文書の対象年齢と使い方を確かめてください。虫さされやかゆみに使える薬なので、ハチ以外の虫刺されにも回せます。

池田模範堂
ムヒアルファEX 15g
ステロイド入りの塗り薬です。チューブ入りで、救急ポーチのすき間に入ります。
3. 山の上で冷やす|ロッテ ヒヤロン
握るだけで冷たくなるので、前もって凍らせる必要がありません。水場のない尾根の上でも、すぐに冷やせます。

ロッテ
ヒヤロン(瞬間冷却パック)
握るだけで冷たくなる冷却パックです。冷凍庫や保冷剤の準備がいりません。
ポーチごと見直すなら子連れ登山の救急セット|基本の中身7つとおすすめ2選・使い方のコツを参考にしてください。
まとめ|秋の山で決めておく4つの行動
- 服と髪:黒いウェアとザックを避ける。髪は帽子に入れ、長袖と首のタオルで露出を減らす
- におい:香水・整髪料・制汗剤は使わない。飲み物とおやつは閉じてしまう
- 歩き方:登山道から外れない。地面の穴や木の根元に近づかない
- 出会ったとき:手で払わず、しゃがんで静かに離れる。追われたら止まらずに走る
刺されたときは、巣から100メートル以上離れてから、動かない・吸う・洗う・冷やす・病院の順です。全身の症状が出たら、手当てより先に助けを呼びます。


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